思い込み音信不通

 かつて親しくしていた友人と、
長い間音信不通になっていた。

友人と言っても、
ぼくよりずいぶん年上の姉御なんだけど、
どうしても会いたくて、
ずっとあちこちに問い合わせて消息を探ってた。

でも、どうしても連絡先がわからない。
これはもう、探偵社に頼むしかないかな?
けど、高いんやろな。

そんなことをここ何年も。

ところが、どうだ。

さっき、別件でPCの住所録を見てたら、
彼女の名前がある。

それはわかってたよ。
でも、確か、名前だけで、
住所も何もブランクになってるんだ。

そう思い込んでたのに、
クリックしてみると、
住所はおろか家デンも携帯もちゃんと書いてあるじゃないか。

ええっ!

ももう10年どころじゃない15年ほど会ってないから、
忘れてるだけで
きっとこれまでにも電話してみて通じなかったんだろうな。
とにかく彼女の連絡先は長年わからなかったんだから。

と思いながらとりあえずかけてみたら、
お留守。

けど、すぐにあちらから電話がかかってきた。

「あの、お電話いただいたようですが、
 どちら様でしょう?」

それはまぎれもなく、
彼女の懐かしい声!

うわぁぁぁ!
あれだけ探してたのに。

って、ぼくは今まで一体何をしてたんだ?
住所も電話番号も手元でわかるのに、
あちこち調べ回ってたってか。

懐かしい彼女の声は思い切り笑ってた。